教育法規6-(6)「政治的行為の制限」

法規

 「政治的行為の制限」について述べなさい。また、教育公務員の政治的行為が制限されたり、禁止されたりするのはどのような場合か。具体例を5例挙げ説明しなさい。

政治的行為の制限

 公務員は、全体の奉仕者であって一部の奉仕者ではなく、公共の利益のために勤務すべき職責があり、その政治的中立性を確保するとともに、行政の公正な運営の確保を図る必要がある。特に、教育公務員については、教育基本法等における教育の政治的中立性の原則に基づき、特定の政党の支持又は反対のために政治的活動等をすることは禁止されている。さらに、教育公務員の職務と責任の特殊性により、教育公務員特例法において、公立学校の教育公務員の政治的行為の制限は、国家公務員の例によることとされ、人事院規則で定められた政治的行為が禁止されている。また、公職選挙法においても、選挙運動等について特別の定めがなされている。なお、学校の内外を問わずその地位を利用して特定の政治的立場に立って児童生徒等に接することなどにより、その職の信用を傷つけ、学校教育に対する国民の信頼を損なうこととなる場合は、地方公務員法に基づき、信用失墜行為の禁止に抵触する可能性がある。

法根拠

【地方公務員法第36条】
 「職員は、政党その他の政治的団体の結成に関与し、若しくはこれらの団体の役員となってはならず、又はこれらの団体の構成員となるように、若しくはならないように勧誘運動をしてはならない。」

【教育公務員特例法第18条】
 「公立学校の教育公務員の政治的行為の制限については、当分の間、地方公務員法第36条の規定にかかわらず国家公務員の例による。」

【国家公務員法第102条第1項第2項】
 「国の行政は、法規の下において民主的且つ能率的に運営されることが要請される。従って、その運営にたずさわる一般職に属する国家公務員は、国民全体の奉仕者として政治的に中立な立場を維持することが必要であると共に、それらの職員の地位は、たとえば、政府が更迭するごとに、職員の異動が行われたりすることがないように政治勢力の影響又は干渉から保護されて、政治の動向のいかんにかかわらず常に安定したものでなければならない。又、この規則による政治的行為の禁止又は制限は、同時に、他の職員の側からするこれに対応する政治的行為をも合せて禁止することによって、職員がこれらの政治的行為の禁止に違反しないようにすることが容易に達せられるようなものでなければならない。この規則は、このような考慮に基づき、右の要請に応ずる目的をもつて制定されたものである。従って、この規則が学問の自由及び思想の自由を尊重するように解釈され運用されなければならないことは当然である。」

【人事院規則14-7】
 「法及び規則中政治的行為の禁止又は制限に関する規定は、臨時的任用として勤務する者、条件附任用期間の者、休暇、休職又は停職中の者およびその他理由のいかんを問わず一時的に勤務しない者をも含むすべての一般職に属する職員に適用する。(後略)」

具体例

①公の選挙又は投票において投票をするように、又はしないように勧誘運動をすること。
②署名運動を企画し、又は主宰する等これに積極的に関与すること。
③寄附金その他の金品の募集に関与すること。
④文書又は図画を地方公共団体の庁舎又は特定地方独立行政法人の庁舎、施設等に掲示し、又は掲示させ、その他地方公共団体の庁舎又は特定地方独立行政法人の庁舎、施設、資材又は資金を利用し、又は利用させること。
⑤公選による公職の候補者となること。

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