教育法規6-(11)「交通事故」

法規

 教職員が交通事故の加害者となった場合、どのような処分がくだされるか述べなさい。

 交通事故の加害者となった場合、「民事上」「刑事上」「行政上」「身分上」の4つの責任が追及される。

『民事上の責任』

 交通事故により被害者に与えた損害を賠償しなくてはならないという責任のこと。治療費、通院交通費などの積極損害に加え、被害者が事故に遭わなければ得られたであろう収入の損害や精神的苦痛に対する慰謝料等を賠償する。

関係法令
・民法709条(不法行為による損害賠償)
・民法710条(財産以外の損害の賠償)
・自動車損害賠償保障法3条(自動車損害賠償責任)
・自動車損害賠償保障法4条(民法の適用)により、損害賠償の責任が科せられる。

『刑事上の責任』

加害者が、犯罪として懲役刑や禁固刑、罰金刑等に処されること。

 検察庁における事情聴取の後、起訴され、簡易裁判所から略式命令【罰金】という形で問われるが、業務上の過失により相手を負傷・死亡させるなどの重大事故の場合には、起訴後の裁判の判決により責任が問われる。刑事事件として起訴された場合は、地公法28条2項2号により休職となる。禁固以上の刑がさせられた場合は、地公法16条2項及び学教法9条2項の欠格事項に該当し、地公法28条4項により失職する。

関係法令
刑法211条2項(自動車運転過失致死傷)
刑法208条2項(危険運転致死傷罪)

『行政上の責任』

 公安委員会で道路交通法の注意義務違反について、その程度や過去の事故歴等により、運転免許停止等の処分がくだされる。過失が大きい場合は、公聴会が開かれ、処分が決定する。

『身分上の責任』

 公務員である教職員は、地公法33条の「信用失墜行為の禁止」により、地公法29条3号「全体の奉仕者たるにふさわしくない非行」に該当し、懲戒処分の対象となる。懲戒処分は、各都道府県の条例によって手続きが行われる。

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