教職員の研修については、法令にどのような規定があるか。また、一般公務員と教育公務員との研修の違いについて述べなさい。
研修とは、「研究」と「修養」を一語にした用語である。
教職員の研修
任命権者が行う研修
【地方公務員法第39条】
「職員には、その勤務能率の発揮及び増進のために、研修を受ける機会が与えられなければならない。」
【第2項】
「前項の研修は、任命権者が行うものとする。」
【教育公務員特例法第21条】
「教育公務員は、その職責を遂行するために、絶えず研究と修養に努めなければならない。」
【第2項】
「教育公務員の任命権者は、教育公務員の研修について、それに要する施設、研修を奨励するための方途その他研修に関する計画を樹立し、その実施に努めなければならない。」
【同法第22条】
「教育公務員には、研修を受ける機会が与えられなければならない。」
【第2項】
「教員は、授業に支障のない限り、本族長の承認を受けて、勤務場所を離れて研修を行うことができる。」
【第3項】
「教育公務員は、任命権者の定めるところにより、現職のままで、長期にわたる研修を受けることができる。」
【同法第23条】(初任者研修)
【同法第24条】(中堅教諭等資質向上研修)
【同法第25条】(指導改善研修)
【同法第25条の2】(指導改善研修後の措置)
【同法第26~28条】(大学院修学休業の許可及びその要件等)
服務監督権者が行う研修
【地方教育行政の組織及び運営に関する法律第45条第1条】
「県費負担教職員の研修は、地方公務員法第39条第2項の規定にかかわらず、市町村委員会も行うことができる。」
【同条第2項】
「市町村委員会は、都道府県委員会が行う県費負担教職員の研修に協力しなければならない。」
【公立小中学校職員服務規程第17条】
①職員は、教育公務員特例法第22条第2項の規定により勤務場所を離れて研修を行おうとするときは、研修承認願を校長に提出し、その承認を受けなければならない。
②校長は、前項の承認を受ける場合において必要と認めるときは、職員に対して、研修の内容を確認することができる資料の提出を求めることができる。
③第1項の承認を受けた教員は、研修が終了したときは、速やかに研修報告書を校長に提出しなければならない。
本属長が行う研修
各校で行われる「校内研修」等のこと。
その他(研修に係る通知、判例、実例)
【通知】(教特法22条に記載)
・夏季休業期間等における公立学校の教育職員の勤務管理について
〔平14.7.4 14初初企第14号文部科学省初等中等教育局初等中等教育企画課長通知〕
【別添2】夏季休業期間等における公立学校の教育職員の勤務管理について(通知)(平成14年7月4日付け14初初企第14号文部科学省初等中等教育局初等中等教育企画課長通知) (mext.go.jp)
【判例】(教特法22条に記載)
・本属長とはその教員の属する学校の長をいう。〔昭24.2.22発調第38号〕
・教育公務員特例法22条2項の承認は、研修の承認に伴う校務運営上の支障と当該研修の社会的評価及び態様、場所、参加の相当性等の諸事情を比較考慮せしめるための裁量判断権を本属長に付与しているものである。教研集会に参加するための職専免の申出を不承認とすることは、校長の裁量権の範囲内の問題である。〔札幌高裁 昭52.2.10判決〕
【実例】(教特法21条に記載)
「教員の勤務時間の割り振りにおける研修時間の取り扱い」
ある研修を(1)勤務そのものとして行わせるか(2)勤務に有益なものとして職務専念義務を免除して行わせるか(3)勤務時間外を利用させるかは服務監督者の決定するところである。(2)に該当すると決定した場合、教特法20条2項〔現行22条2項〕は地公法35条にいう特別の定めに該当し、同条によって職務専念義務を免除しても差し支えない。〔昭39.12.18委初第5の21号回答〕
【実例】(地教行法45条に記載)
校長から受講を命ぜられた教員の不出席は、法43条2項にいう職務命令に対する服務義務の違反となる。また教組の受講拒否決定や指令、および他教職員が受講予定者に受講しないよう執拗に説得することは、地公法37条1項に違反すると解する。〔昭33.10.24委初第297号初等中等教育局長回答〕
一般公務員と教育公務員との研修の違い
教員の研修は、職務の特殊性から鑑み、特段の配慮が必要である。そのため以下の違いがある。
(1)自主的な研修、職場を離れての研修を可能としている。
(2)現職のまま長期の研修や大学院等の履修が可能である。
(3)任命権者に初任者・中堅教諭等資質向上研修等の体系的な研修の実施を義務づけている。
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