教育法規8-(1)「職員団体」と「労働組合」

法規

職員団体と労働組合との違いについて述べなさい。

職員団体

【地方公務員法第52条第1項】
「この法律において、『職員団体』とは、職員がその勤務条件の維持改善を図ることを目的として組織する団体又はその連合体をいう。」

労働組合

【労働組合法第2条】
「この法律で『労働組合』とは、労働者が主体となつて自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体又はその連合団体をいう。」

解釈

 憲法28条に「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動する権利は、これを保障する」と規定されており、労働者の労働三権(団結権、団体交渉権、争議権)を保証している。しかし、労働三権がそのまま適合するのは民間企業労働者であり、公務員の場合には、職務の公共性の見地から、その労働三権に一定の制限が加えられる。民間企業労働者は労働組合法で「労働組合」を、地方公務員たる公立の教職員には地方公務員法で「職員団体」の結成が認められており、職員団体も労働組合も憲法28条の規定に基づいて自らの労働条件の維持改善、その他経済的地位の向上を主たる目的として組織されているという点で類似しているが、以下の3点で異なっている。

基本的な違い

職員団体

  1. 結成根拠法:「地方公務員法」
  2. 労働三権の可能範囲:「団体権」
  3. 労使交渉の名称:「交渉」
  4. 労使の取り決め方式:「書面協定」

労働組合

  1. 結成根拠法:「労働組合法」
  2. 労働三権の可能範囲:「団結権、団体交渉権、争議権」
  3. 労使交渉の名称:「団体交渉」
  4. 労使の取り決め方式:「労働協約」

労働基本権の違い

職員団体

  1. 争議権
    争議権はなく、勤務条件も法令・条例で定められているため対等の地域ない。
    【地方公務員法第37条第1項】
  2. 団体交渉権
    締結権がない。勤務条件に関する意見、不満等を民主的な手続きにより、正当に当局に伝える期間たる性格を有するにとどまる。
    【地方公務員法第55条第1項】
  3. 団結権
    結成・加入は職員の自由。
    【地方公務員法第52条第3項】

労働組合

  1. 争議権
    勤務条件について団体交渉において、早期権を裏付けとして実質的に対等の地位に立つ。
    【労働組合法第1条第1項】
  2. 団体交渉権
    使用者と団体協定を結び、それによって労働者の勤務条件を規制することができる。
    【労働組合法第1条第1項】
  3. 団結権
    労働規約の中で、従業員資格と組合員資格を規定した条項を締結できる。

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