学齢簿の編製について述べなさい。また、少年院・児童自立支援施設へ入院している者の学籍はどうなるか述べなさい。
学齢簿の編製
【学校教育法施行令第1条第1項】
「市町村の教育委員会は、当該市町村の区域内に住所を有する学齢児童及び学齢生徒について、学齢簿を編製しなければならない。」
【第2項】
「前項の規定による学齢簿の編製は、当該市町村の住民基本台帳に基づいて行うものとする。」
学齢簿の作成期日
【同施行令第2条】
「市町村の教育委員会は、毎学年の初めから5月前までに、文部科学省令で定める日現在において、当該市町村に住所を有する者で全学年の初めから終わりまでの間に満6歳に達する者について、あらかじめ、前条第1項の学齢簿を作成しなければならない。この場合においては、同条第2項から第4項までの規定を準用する。」
学齢簿の完結・保存期間
学齢簿に、対象児童の小中学校の卒業年月日を記載すれば、学齢簿の記載は完結する。保存期間については、法令上の定めはない。
少年院・児童自立支援施設へ入所している者の学籍
少年院と児童自立支援施設のちがい
どちらの施設も少年の改善更生を目的としている。しかし、少年院は、少年院法第3条により、自由に外出することは認められておらず、これまで通学していた学校に通学することも不可能となる。対して、児童自立支援施設は、児童福祉法第44条により、保護者の下から通わせるような方法も予定しており、開放処遇を前提としている。
児童自立支援施設に入所した学齢児童生徒の学籍
「自校にそのまま在籍」か「入所する児童自立支援施設がある学区の小中学校への転学」となる。
入所中の学齢児童生徒に学校教育を実施する具体的な方法としては、地域の小中学校等への通学や児童自立支援施設内によける分校・分教室の施設等があり、これらのうちから市町村教育委員会の判断により適切な方法が実施されることとなる。
平成9年の児童福祉法等の一部を改正する法律の経過措置として当分の間、児童自立支援施設の長が、入所中の児童に学校教育に準ずる教科指導を実施することができ、この場合は、小中学校等の在籍とみなすこととされておらず、学校教育法第18条にある「やむを得ない事由」として、保護者は就学の猶予・免除を受けるとことなっていた。
しかしながら、現在、ほとんどの児童自立支援施設において地域の小中学校等への通学や施設内における分校・分教室が設置されており、この場合、入所している児童生徒は学校教育を受けていることになる。
少年院に入院している学齢児童生徒の学籍
「引き続き入院前に通学していた学校に在籍とする」か、「在院中に就学すべき学校を指定し、在籍を認める」こともできる。
少年院は、家庭裁判所から保護処分として送致された者を収容し、矯正教育と社会復帰支援を行うしせつである。学校児童生徒が入院した場合、少年院においては、少年院法第26条第1項に基づく学校教育に準ずる内容の指導が行われる。
従前の取扱では、学齢児童生徒が少年院に入院した場合、学校教育法に定める「やむを得ない事由」として、保護者は就学義務の猶予・免除を受けることとしており、学籍が除籍されることもあった。
しかしながら、児童生徒が再び学校に戻って居場所を得たり、進学等の形で学びを継続していくことは改善更生や生活の安定において極めて重要である。このため、児童生徒が出院後に円滑に学校に復学できるようにするため、入院前に学齢児童生徒が通学していた学校が少年院と連携の下、少年院における学習の状況等を適切に把握していると判断される場合は、保護者は教育委員会に就学義務の猶予・免除の願い出をする必要はなく、入院中も引き続き入院前に通学していた学校に在籍することもできるとした。
なお、国立大学法人、公立大学法人及び学校法人等が設置する義務教育諸学校に通う児童生徒が少年院に入院した場合であってその学校を退学したときは、学齢簿を編製する教育委員会は、保護者の願い出を受けて就学義務を猶予・免除することができる。また、円滑な復学の観点から、保護者の意向を聴取した上で、在院中に就学すべき学校を指定し、在学を認めることもできる。この場合、当該学校が少年院との連携の下、少年院における児童生徒の学習の状況等を適切に把握する必要がある。
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