「通学区域制度の弾力的運用」について述べなさい。また、学校教育法施行令第8条に基づく就学校の変更の取扱いについても述べなさい。
通学区域制度
【学校教育法施行令第1条、第2条】によって、市町村教育委員会は学齢簿を編製し、【第5条第2項】により、「当該市町村の設置する小学校又は中学校が2校以上ある場合においては、前項の通知においてその保護者に対し当該就学予定者の就学すべき小学校または中学校を指定しなければならない。」とある。
市町村教育委員会は、住民に対し指定される小中学校をあらかじめ了知させるため、あるいは事務執行上の必要から、就学校を住所により【公立小中学校管理規則第16条】において定めている。これが通学区制度である。また、通学区域制度とは、市町村教育委員会が、学齢児童・生徒の就学に関することについて管理し、執行する権限【地方教育行政の組織及び運営に関する法律第21条第4号】に基づき、通学区域の設定を行うことができる。
通学区域制度の弾力運用
臨教審第3次答申(S62.5)において、「地域の実情に即し、可能な限り、子どもに適した教育を受けさせたいという保護者の希望を生かすために、当面、具体的には調整区域の設定の拡大、学校指定の変更・区域就学の一層の弾力的運用、親の意向の事前聴取、不服申し立ての仕組みの整備など多様な方法を工夫すること」が提言された。また、平成9年1月には、文部科学省から「通学区域制度の弾力的運用についての通知」も出された。
- 通学区域制度の運用にあたっては、行政改革委員会の「規制緩和の推進に関する意見(第2次)」の趣旨を踏まえ、市町村教育委員会において、地域の実情に即し、保護者の意向に十分配慮した多様な工夫を行うこと。
- 就学すべき学校の指定変更や区域外就学については、市町村教育委員会において、地理的な理由や身体的な理由、いじめの対応を理由とする場合の他、児童生徒の具体的な事情に即して相当と認めるときは、保護者の申し立てにより、これを認めることができる。
- 通学区域制度や就学すべき学校の指定の変更、区域外就学の仕組みについては、入学期日等の通議など様々な機械を通じて、広く保護者に対して周知すること。また、保護者が就学について相談できるよう、各学校に対してもその趣旨の徹底を図るとともに、市町村教育委員会における就学に関する相談体制の充実を図ること。
学校教育法施行令第8条に基づく就学校の変更の取扱い
学校教育法施行規則の一部を改正する省令等及び学校施行令第8条に基づく就学校の変更の取扱いについて(平成18年3月30日文科省通知)
改正の趣旨
この制度が保護者に対し確実に通知され、その適切な活用が一層進むよう、市町村の教育委員会が就学校の指定に係る通知において、その指定の変更についての保護者の申し立てができる旨を示すものとすること。
改正の内容
市町村教育委員会は、学校教育法施行令第5条第2項の規定による就学校の指定係る通知において、その指定の変更について同令第8条に規定する保護者の申し立てができる旨を示すものとすること。
留意事項
- 指定した就学校を変更することができる場合の要件・手続きに関する事項を定め、公表するものとされているが、今回の改訂後の規定に基づき「通知」において、保護者の申し立てができる旨を示す場合には当該要件・手続きに関する事項について併せて示す。
- 要件・手続きに関する事項を定める際には、保護者の申し立てに関する申立先・申し立てを受け付ける期間等を具体的に定めるとともに、就学校の変更を相当と認める具体的な事由を明確に定めておくこと。
- 就学校を変更する場合、変更を相当と認める具体的な事由については、地域の実情等に応じ適切に判断すべきものである。
- 学年の途中において保護者が就学校の変更を求めた場合も、相当と認めるときは変更を適切に行うこと。
学校教育法施行規則の一部を改正する省令等及び学校教育法施行令第8条に基づく就学校の変更の取扱いについて(通知)(抄):文部科学省 (mext.go.jp)
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