教育法規9-(5)「長期欠席者」「1年以上の居所不明児童生徒」

法規

 理由なく長期にわたって欠席している児童生徒の取扱いについて述べなさい。また、1年以上居所不明の児童生徒の取扱いについても述べなさい。

長期欠席者

 何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により登校しないあるいはしたくてもできない状況にあるために年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的理由によるものを除いたもの」を不登校児童生徒とみなし、長期欠席者として扱う。

保護者の就学義務

 保護者には就学の義務があり、以下のような法令で規定している。

【日本国憲法第26条第2項】
「すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。」

【教育基本法第5条第1項】
「国民は、その保護する子に、別に法律で定めるところにより、普通教育を受けさせる義務を負う。」

【学校教育法第16条】
「保護者は、次条に定めるところにより、子に9年の普通教育を受けさせる義務を負う。」

【学校教育法第17条第1項】
「保護者は、子の満6歳に達した日の翌日以後における最初の学年の初めから、満12歳に達した日の属する学年の終わりまで、これを小学校、義務教育学校の前期課程又は特別支援学校の小学部に就学させる義務を負う。ただし、子が、満12歳に達した日の属する学年の終わりまでに小学校の課程、義務教育学校の前期課程又は特別支援学校の小学部の課程を修了しないときは、満15歳に達した日の属する学年の終わりまでとする。」

【第2項】
保護者は、子が小学校の課程、義務教育学校の前期課程又は特別支援学校の小学部の課程を修了した日の翌日以後における最初の学年の初めから、満15歳に達した日の属する学年の終わりまで、これを中学校、義務教育学校の後期課程、中等教育学校の前期課程又は特別支援学校の中学部に就学させる義務を負う。」

理由なく長期にわたって欠席している児童生徒の取扱い

学校の対応

 校長の義務として、児童生徒の出席状況の把握と教育委員会への通知を行う。

【学校教育法施行令第19条】
「小学校、中学校、義務教育学校、中等教育学校及び特別支援学校の校長は、常に、その学校に在学する学齢児童又は学齢生徒の出席状況を明らかにしておかなければならない。」

【学校教育法施行規則第25条】
「校長は、当該学校に在学する児童等について出席簿を作成しなければならない。」

【学校教育法施行令第20条】
「小学校、中学校、義務教育学校、中等教育学校及び特別支援学校の校長は、当該学校に在学する学齢児童又は学齢生徒が、休業日を除き引き続き7日間出席せず、その他その出席状況が良好でない場合において、その出席させないことについて保護者に正当な事由がないと認められるときは、速やかに、その旨を当該学齢児童又は学齢生徒の住所の存する市町村の教育委員会に通知しなければならない。」

教育委員会の対応

【学校教育法施行令第21条】
「市町村の教育委員会は、前条の通知を受けたときその他当該市町村に住所を有する学齢児童又は学齢生徒の保護者が法第17条第1項又は第2項に規定する義務を怠っていると認められるときは、その保護者に対して、当該学齢児童又は学齢生徒の出席を督促しなければならない。」

【学校教育法第144条】
「第17条第1項又は第2項の義務の履行の督促を受け、なお履行しない者は、10万円以下の罰金に処する。」

【学校教育法第19条】
「経済的理由によって、就学困難と認められる学齢児童又は学齢生徒の保護者に対しては、市町村は、必要な援助を与えなければならない。」

1年以上居所不明の児童生徒の取扱いについて

 昭和32年2月各都道府県教育委員会・各都道府県知事・附属学校をもつ各国立大学長あて文部省初等中等教育局長通達「学齢簿および指導要録の取扱について」では、児童生徒の居所が1年以上不明であるときは、在学しないものと同様に取り扱い、その指導要録は、別に整理して保存することとされている。児童生徒の指導要録の「転学・退学等」の欄に、校長が在籍しないと認めた年月日をその事由などを記入し、その指導要録は在学生とは別に整理保管し、除籍扱いとなる。

● 学齢簿および指導要録の取扱について 昭和32年2月25日 文初財第83号 (chobi.net)

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