学齢児童生徒以外の者が公立の義務教育諸学校へ就学を願い出た場合の取り扱いについて述べなさい。また、外国人児童生徒の場合にはどう取り扱うか、重国籍をもつ児童生徒の場合を含めて述べなさい。
学齢児童生徒以外の者が公立の義務教育諸学校へ就学を願い出た場合の取り扱いについて
学齢期
学齢期とは、6歳の4月1日を起点とし、15歳の4月1日の前日(3月31日)を終点とする9年間のこと。【学校教育法第17条第1項、第2項】
【学校教育法第17条第1項】
「保護者は、子の満6歳に達した日の翌日以後における最初の学年の初めから、満12歳に達した日の属する学年の終わりまで、これを小学校、義務教育学校の前期課程又は特別支援学校の小学部に就学させる義務を負う。ただし、子が、満12歳に達した日の属する学年の終わりまでに小学校の課程、義務教育学校の前期課程又は特別支援学校の小学部の課程を修了しないときは、満15歳に達した日の属する学年の終わり(それまでの間においてこれらの課程を修了したときは、その修了した日の属する学年の終わり)までとする。」
【同条第2項】
「保護者は、子が小学校の課程、義務教育学校の前期課程又は特別支援学校の小学部の課程を修了した日の翌日以後における最初の学年の初めから、満15歳に達した日の属する学年の終わりまで、これを中学校、義務教育学校の後期課程、中等教育学校の前期課程又は特別支援学校の中学部に就学させる義務を負う。」
学齢未満
【学校教育法第36条】
「学齢に達しない子は、小学校に入学させることができない。」
学齢を超えている児童生徒
義務教育を修了していない場合でも、学齢を超えて就学させる法的な義務はない。しかし、入学の願い出があった場合、教育委員会と学校が厚情的に処理することに問題はない。
【昭27.10.21 文部省初等中等教育局財務課長回答】
「一般に、学齢児童生徒以外の者が公立の義務教育学校への入学を願い出た場合には、教育委員会は、相当の年齢に達し、かつ学歴、学校の収容能力等を考慮して適当と認められる者については、その就学を許可して差し支えない。」
2.学齢超過者の中学校への入学許可について:文部科学省 (mext.go.jp)
外国籍の児童生徒
外国籍の児童生徒に就学義務はないが、就学を願い出た場合には市町村教育委員会は、その就学を許可することが望ましい。その際、教育委員会と校長には次のような配慮が必要となる。
教育委員会
- 当該校長に、設備・備品等の物的充足状況を確認する。
- 当該児童生徒への教育的配慮の意向を十分打診する。
- 学齢簿については、作成する必要はないがこれに変わる者を作成し、別綴りにして保管することが望ましい。
校長
- 日本人の児童生徒と基本的に同様に扱うことを事前に保護者に伝え、了承を得ておく。(管理下の事故に対する補償、健康診断の実施、学則の遵守、授業料の有無、教科書無償給与、就学援助措置等)
- 編入させる学年については、通常、年齢相当の学年に編入させるが、日本語力等の事情から適当でないと認められるときは、保護者の希望等も勘案して、学校生活に適応するまでの間、学籍は年齢相当の学年に置いたまま、実際の学習は年齢相当以下の学年で学習させる措置も考えられる。
重国籍をもつ児童生徒
【昭59.12.6 文部省初等中等教育局長通知 国籍法の一部改正に伴う重国籍の就学】
- 重国籍であっても、日本国籍を有する子女で学齢にある者については、その保護者は義務教育を受けさせる義務を負う。
- 経過措置により、法務大臣に届け出ることによって新たに日本の国籍を取得した学齢児童生徒については、住民基本台帳に記載されるので、それに基づいて学齢簿の追加等の就学事務を行う必要がある。
- 上記の2に該当する者のうち義務教育学校に就学していない者については、年齢に応じ、義務教育諸学校の相当学年への年入学の手続きを行う必要がある。
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