児童生徒の「退学」とは、どのような場合か。また、そのときの指導要録の取り扱いはどうなるか。
退学
退学とは、学校に在学中のものが、その学校の全課程を修了して卒業する前に、その児童生徒としての身分を失うことという。
公立小中学校に在籍する児童生徒の「退学」
- 外国にある学校(日本人学校、現地のいわゆるインターナショナルスクール等)に入学することを予定して、学校を去る場合
- 学齢を超過した児童生徒が、就学義務がなくなったことによって、学校を去る場合
- 児童自立支援施設(教護院)・少年院に入所により就学義務の猶予又は免除を受け、学校を去る場合
- 特別支援学校に異動することになり、学校を去る場合
- 死亡の場合
- 療養により、就学義務の猶予又は免除を受けた場合
- 児童自立支援施設(教護院)・少年院に入所のため、就学義務の猶予又は免除を受けた場合
- 児童生徒の居所が1年以上不明で長期欠席を続けている場合
6、7、8は「退学」ではなく、「在籍しない者」として扱う。
退学に係る関係法令
児童生徒の自己都合による退学
【学校教育法施行規則第94条】
「生徒が、休学又は退学をしようとするときは、校長の許可を受けなければならない。」
【学校教育法施行令第6条、第10条、第14条、第18条】
公立に義務教育諸学校の場合、就学義務を拒否するという意味での退学は認められない。
【学校教育法施行令第6条】
「前条の規定は、次に掲げる者について準用する。この場合において、同条第1項中「翌学年の初めから2月前までに」とあるのは、「速やかに」と読み替えるものとする。」
- 就学予定者で前条第1項に規定する通知の期限の翌日以後に当該市町村の教育委員会が作成した学齢簿に新たに記載されたもの又は学齢児童若しくは学齢生徒でその住所地の変更により当該学齢簿に新たに記載されたもの
- 次条第2項の通知を受けた学齢児童又は学齢生徒
- 第6条の3第2項の通知を受けた学齢児童又は学齢生徒
- 第10条又は第18条の通知を受けた学齢児童又は学齢生徒
- 第12条第1項の通知を受けた学齢児童又は学齢生徒のうち、認定特別支援学校就学者の認定をした者以外の者
- 第12条の2第1項の通知を受けた学齢児童又は学齢生徒のうち、認定特別支援学校就学者の認定をした者以外の者
- 小学校、中学校又は義務教育学校の新設、廃止等によりその就学させるべき小学校、中学校又は義務教育学校を変更する必要を生じた児童生徒等
懲戒処分としての退学
【学校教育法施行規則第26条第3項】により、学齢児童生徒の懲戒処分による退学処分は行うことができない。
【学校教育法施行規則第26条第3項】
「前項の退学は、公立の小学校、中学校、義務教育学校又は特別支援学校に在学する学齢児童又は学齢生徒を除き、次の各号のいずれかに該当する児童等に対して行うことができる。」
授業料の滞納による退学
【日本国憲法第26条第2項】及び【教育基本法第5条第4項】により、学齢児童生徒の授業料未納による退学処分はありえない。
【日本国憲法第26条第2項】
「すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。」
【教育基本法第5条第4項】
「国又は地方公共団体の設置する学校における義務教育については、授業料を徴収しない。」
指導要録の取り扱い【学校教育法施行規則第24条】
- 校長が退学を認めた年月日を指導要録の「転学・退学等」の欄の退学等年月日に記入し、その事由を記入する
・外国にある学校に入学することを予定して、学校を去る場合
・学齢を超過した児童生徒が、就学義務がなくなったことによって、学校を去る場合
・特別支援学校に異動することによって、学校を去る場合
・児童自立支援施設(教護院)・少年院に入所によって、学校を去る場合 - 校長が在籍しないと認めた年月日を指導要録の「転学・退学等」の欄の退学等年月日に記入し、その事由を記入する。
・療養に専念するため、就学義務に猶予又は免除を受けた場合
・児童自立支援施設(教護院)・少年院に入所等により、就学義務の猶予又は免除を受けた場合
・児童生徒の居所が1年以上不明で長期欠席を続けている場合 - 死亡の場合は、学齢簿の削除の日は、死亡した年月日を記入し、死亡した日までを「在籍」とする。
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