児童生徒に対する懲戒について、事例を挙げて具体的に述べなさい。
児童生徒に対する懲戒
【生徒指導提要(平成22年3月)文部科学省p205】
懲戒の種類懲戒の種類学校における懲戒とは、児童生徒の教育上必要があると認められるときに、児童生徒を 叱責したり、処罰したりすることです。また、学校の秩序の維持のために行われる場合もあります。懲戒は、制裁としての性質を持ちますが、学校における教育目的を達成するために行われるものであり、教育的配慮の下に行われるべきものです。
- 事実行為としての懲戒 児童生徒を叱責したり、起立や居残りを命じたり、宿題や清掃を課すことや訓告を行うことなどについては、懲戒として一定の効果を期待できますが、これらは児童生徒の教育を受ける地位や権利に変動をもたらすような法的な効果を伴わないので、事実行為としての懲戒と呼ばれています。
- 法的効果を伴う懲戒 児童生徒の教育を受ける地位や権利に変動をもたらす懲戒として、退学と停学があります。退学は、児童生徒の教育を受ける権利を奪うものであり、停学はその権利を一定期間停止するものです。
法的根拠
【学校教育法第11条】
「校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、文部科学大臣の定めるところにより、児童、生徒及び学生に懲戒を加えることができる。ただし、体罰を加えることはできない。」
【同法施行規則第26条】
「校長及び教員が児童等に懲戒を加えるに当つては、児童等の心身の発達に応ずる等教育上必要な配慮をしなければならない。」
【第2項】
「懲戒のうち、退学、停学及び訓告の処分は、校長が行う。」
【第3項】
「前項の退学は、公立の小学校、中学校、義務教育学校又は特別支援学校に在学する学齢児童又は学齢生徒を除き、次の各号のいずれかに該当する児童等に対して行うことができる。」
- 性行不良で改善の見込がないと認められる者
- 学力劣等で成業の見込がないと認められる者
- 正当の理由がなくて出席常でない者
- 学校の秩序を乱し、その他学生又は生徒としての本分に反した者
【第4項】
「第2項の停学は、学齢児童又は学齢生徒に対しては、行うことができない。」
【第5項】
「学長は、学生に対する第2項の退学、停学及び訓告の処分の手続を定めなければならない。」
懲戒の範囲
【問題行動を起こす児童生徒に対する指導について(通知)18文科初第1019号平成19年2月5日】
体罰について
有形力の行使以外の方法により行われた懲戒については、例えば、以下のような行為は、児童生徒に肉体的苦痛を与えるものでない限り、通常体罰にはあたらない。
- 放課後等に教室に残留させる(用便のためにも室外に出ることを許さない、又は食事時間を過ぎても長く留め置く等肉体的苦痛を耐えるものは体罰に当たる)。
- 授業中、教室内に起立させる。
- 学習課題や清掃活動を課す。
- 学校当番を多く割り当てる。
- 立ち歩きの多い児童生徒を叱って席につかせる。
なお、児童生徒から教員等に対する暴力行為に対して、教員等が防衛のためにやむを得ずした有形力の行使は、もとより教育上の措置たる懲戒行為として行われたものではなく、これにより身体への侵害又は肉体的苦痛を与えた場合は、体罰には該当しない。また、他の児童生徒に被害を及ぼすような暴力行為についても、同様に体罰に当たらない。これらの行為については、正当防衛、正当行為等として刑事上又は民事上の責めを免れうる。
児童生徒を教室外に退去させる等の措置について
- 単に授業に遅刻したこと、授業中学習を怠けたこと等を理由として、児童生徒を教室に入れず又は教室から退去させ、指導を行わないままに放置することは、義務教育における懲戒の手段としてゆるされない。
- 他方、授業中、児童生徒教室内に入れず又は教室から退去させる場合であっても、当該授業の間、その児童生徒のために当該授業に代わる指導が別途行われるのであれば、懲戒の手段としてこれを行うことは差し支えない。
- また、児童生徒が学習を怠り、喧騒その他の行為により他の児童生徒の学習を妨げるような場合には、他の児童生徒の学習上の妨害を排除し教室内の秩序を維持するため、必要な間、やむを得ず教室外に退去させることは懲戒に当たらず、教育上必要な措置をして差し支えない。
- さらに、近年児童生徒の間に急速に普及している携帯電話を児童生徒が学校に持ち込み、授業中にメール等を行い、学校の教育活動全体に悪影響を及ぼすような場合、保護者等と連携を図り、一時的にこれを預かり置くことは、教育上必要な措置として差し支えない。
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