教育法規10-(6)「学校事故」

法規

 学校事故の責任と災害給付関係について述べなさい。

学校事故

「学校事故」とは、原則として、登下校中を含めた学校の管理下)で発生した事故をいう。
*独立行政法人日本スポーツ振興センター法施行令第5条第2項に定める「災害共済給付」の対象となる「学校の管理下」参照

【独立行政法人日本スポーツ振興センター法施行令第5条第2項】
(学校管理下における災害の範囲)
「災害共済給付に係る災害は、次に掲げるものとする。」

  1. 児童生徒等の負傷でその原因である事由が学校の管理下において生じたもの。ただし、療養に要する費用が5,000円以上のものに限る。
  2. 学校給食に起因する中毒その他児童生徒等の疾病でその原因である事由が学校の管理下において生じたもののうち、文部科学省令で定めるもの。ただし、療養に要する費用が5,000円以上のものに限る。
  3. 第1号の負傷又は前号の疾病が治った場合において存する障害のうち、文部科学省令で定める程度のもの。
  4. 児童生徒等の死亡でその原因である事由が学校の管理下において生じたもののうち、文部科学省令で定めるもの。
  5. 前号に掲げるもののほか、これに準ずるものとして文部科学省令で定めるもの。

 学校事故という言葉は法律上の用語でもなく定義もない。そこで、県教育委員会は、報告すべき「学校事故の範囲及び種類」を定め、通知している。

【児童生徒、職員等の事故報告についてH10,1.8 県教育長】
 この通知によると、学校事故の範囲は「職員の事故」、「児童生徒の事故」、「学校施設等の事故」の3点である。さらに、同通知において、県項育委員会は「任命権者」として、市町村教育委員会は包括的な学校管理の必要から、公立小中学校管理規則第10条(事故報告)、公立小・中学校職員服務規程第22条(校務報告)の規定により、事故報告の提出を求めている。

学校事故の種類

職員の事故

  1. 負傷・疾病
  2. 暴力行為等
  3. 体罰
  4. 自殺等
  5. 水難・山岳遭難
  6. 交通事故等
  7. 伝染病
  8. 食中毒
  9. その他

児童生徒の事故

  1. 負傷・疾病
  2. 暴力行為等
  3. 脅迫等
  4. 窃盗
  5. 飲酒・喫煙
  6. 薬物等の乱用
  7. 性に関する事故
  8. 家出等
  9. 自殺等
  10. 水難
  11. 交通事故等
  12. 伝染病
  13. 食中毒等
  14. 光化学スモッグ
  15. その他

学校施設等の事故

  1. 天災
  2. 火災
  3. 盗難
  4. 施設破壊
  5. その他

【公立小中学校管理規則第10条】
「児童生徒の傷害、死亡又は、集団的疾病その他児童生徒に係る事故の発生をみたときは、校長はすみやかに教育委員会に連絡し、なお、文書をもって詳細を報告しなければならない。」

【公立小・中学校職員服務規程第22条】
「校長は、次の事項については、速やかに教育委員会に報告しなければならない。」

  1. 学校において、災害その他の事故が発生したとき。
  2. 児童、生徒の出席調査表(毎学期末)
  3. 職員出勤簿統計表(毎学期末)
  4. 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律によって、職員が出勤できなくなったとき。
  5. 職員が刑事事件に関連して、起訴されたとき又は休職されたものが不起訴となり、もしくは裁判が確定したとき。
  6. 休職を命ぜられた職員が期間満了したとき。
  7. 職員で、病気休職又は欠勤が引き続き1月を超えるとき。
  8. 職員で、病気休暇が引き続き90日を超えるとき。
  9. 職員で、産前の休暇を受け又は出産し、もしくは産後の休養を終えて出勤するに至ったとき。
  10. 職員が死亡したとき。
  11. 職員の赴任が、10日以上延期されたとき。
  12. 職員に事故が発生したとき。

学校事故が発生した場合の責任

民事上の責任(損害賠償責任)

 賠償責任は、不法行為により発生するものであるが、学校事故に関しては、「責任無能力者の監督義務者等の責任」【民法第714条】を問われることがある。

 教員の場合は【国家賠償法第1条、第2条】が適用される。校長には「使用者等の責任」【同法715条】が適用されることもある。

【国家賠償法第1条第1項】
「国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によって違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。」

【同条第2項】
「前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。」

【国家賠償法第2条第1項】
「道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があったために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる。」

【同条第2項】
「前項の場合において、他に損害の原因について責に任ずべき者があるときは、国又は公共団体は、これに対して求償権を有する。」

刑事上の責任(刑事罰)

 学校事故が、原因、行為、故意、過失の程度によって犯罪を構成する場合、刑法の規定によって傷害罪、暴行罪、業務過失致死傷罪等の刑事罰が科せられる。

行政上の責任(懲戒等の処分)

 校長、教頭として守るべき義務に違反する行為によって学校事故が発生した場合にその責任が問われる。

災害給付制度

災害教材給付
【独立行政法人日本スポーツ振興センター法第15条】
「センターは、第三条の目的を達成するため、次の業務を行う。」

【同条第7項】
「学校の管理下における児童生徒等の災害(負傷、疾病、障害又は死亡をいう。)につき、当該児童生徒等の保護者又は当該児童生徒等のうち生徒若しくは学生が成年に達している場合にあっては当該生徒若しくは学生その他政令で定める者に対し、災害共済給付(医療費、障害見舞金又は死亡見舞金の支給をいう。)を行うこと。」

 学校管理下における負傷、給食による中道その他の疾病の「医療費」、負傷又は疾病が治った後に障害が残ったときの「障害見舞金」、負傷又は疾病に直接起因する死亡に対する「死亡見舞金」に分類される。

【同法施行令第3条】
「法第15条第1項第7号に規定する災害共済給付の給付金の額は、次の各号に掲げる給付の種類ごとに、当該各号に定める額とする。」

医療費 次に掲げる額の合算額

  1. 健康保険法第63条第1項各号に掲げる療養に要する費用 同法第76条第2項の規定に基づく厚生労働大臣の定めるところ又は同法第86条第2項第1号の規定に基づく厚生労働大臣の定めるところにより算定した額。ただし、当該定めがないときは、現に当該療養に要した費用の範囲内でセンターが必要と認めた額とする。
  2. 健康保険法第88条第1項に規定する指定訪問看護に要する費用 同条第4項の規定に基づく厚生労働大臣の定めるところにより算定した額。ただし、当該定めがないときは、現に当該指定訪問看護に要した費用の範囲内でセンターが必要と認めた額とする。

 単位療養額を合算した額の10分の1を超えない範囲内で療養に伴って要する費用として文部科学省令で定める額

 療養を受けた月における食事療養を受けた日数に同法第85条第2項に規定する食事療養標準負担額を乗じて得た額

障害見舞金 

 障害の程度に応じ4,000万円から88万円までの範囲内で、文部科学省令で定める額

死亡見舞金 

 3,000万円及び同条第1項第5号の文部科学省令で定める死亡に係る死亡見舞金にあっては、1,500万円

給付金額

【独立行政法人日本スポーツ振興センターに関する条例第19条】
(令第3条第1項第1号イの文部科学省令で定める額)
(令第3条第1項第1号ロの文部科学省令で定める額)

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