外部機関から指導要録の写しを請求された場合の対応について述べなさい。
指導要録の法的根拠と性格
指導要録は、【学校教育法施行規則第24条第1項】において、「児童生徒等の学習及び健康の状況を記録した書類の原本を作成しなければならないと規定された学校備付表簿【同規則第28条第1項第4号】である。
更に指導要録には、【小・中学校等指導要録改善の通知(13文科初第193号平成13年4月27)】に示されているように、「指導のための資料」と「外部に対する証明の原簿」の2面性がある。
指導要録の保存期間は、【学校教育法施行規則第28条第2項】に、「学籍に関する記録」は20年、「指導に関する記録」は5年と定められている。なお、保存期間経過後は、廃棄するなど適切な措置をとらなければならない。
外部から指導要録の写しを請求された場合の対応
近年、「情報公開条例」「個人情報保護条例」等により、指導要録の開示請求、開示対象が広がる傾向にある。指導要録の作成にあたっては、教師間の連携や情報交換により、多面的・多角的な資料に基づき、簡素・公正に記述することが大切である。その上で、外部への証明に当たっては、プライバシー保護の観点や教育的な配慮の観点から、申請の趣旨等を確認して、校長の判断に基づき慎重に対応する必要がある。
児童生徒が進学した場合
【学校教育法施行規則第24条第2項】
「校長は、児童等が進学した場合においては、その作成に係る当該児童等の指導要録の抄本又は写しを作成し、これを進学先の校長に送付しなければならない。」
児童生徒が転学した場合
【学校教育法施行規則第24条第3項】
「校長は、児童等が転学した場合においては、その作成に係る当該児童等の指導要録の写し(転学してきた児童等については転学により送付を受けた指導要録の写しを含む)を作成し、その写し及び前項の抄本又は写しを転学先の校長、保育所の長又は認定こども園の長に送付しなければならない。」
関係機関との連携が必要な場合
- 本人や保護者の要請に基づかない外部からの紹介については、法令の根拠がある場合を除き、公的性や共益性があるかなどの観点から慎重に判断していく必要がある。
- 法令に基づく照会があった場合においても、本人の人権を守る観点から公正・客観的事実に基づいて慎重に対応する。
- 照会については、原則、照会状を提出を求める。
照会等の根拠法令
【民事訴訟法第220条第4条】
「次に掲げる場合には、文書の所持者は、その提出を拒むことができない。」
「前3号に掲げる場合のほか、文書が次に掲げるもののいずれにも該当しないとき。」
ロ「公務員の職務上の秘密に関する文書でその提出により公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるもの。」
【少年法第16条第2項】
「家庭裁判所は、その職務を行うについて、公務所、公私の団体、学校、病院その他に対して、必要な協力を求めることができる。」
【刑事訴訟法第197条】
「捜査については、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。」
【弁護士法第23条の2】
「弁護士は、受任している事件について、所属弁護士会に対し、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることを申し出ることができる。申し出があった場合において、当該弁護士会は、その申出が適当でないと認めるときは、これを拒絶することができる。」
児童生徒や保護者から開示請求があった場合
個人情報の開示、非開示、部分開示の判断は、実施期間となっている教育委員会が行う。手続きについては、各市町村の条例で定めており、条例に基づいて処理する。
関係法令
【学校教育法施行規則第24条第1項】
「校長は、その学校に在学する児童等の指導要録を作成しなければならない。」
【学校教育法施行規則第28条第1項第4号】
「学校において備えなければならない表簿は、概ね次のとおりとする。」
「指導要録、その写し及び抄本並びに出席簿及び健康診断に関する表簿」
【学校教育法施行規則第28条第2項】
「前項の表簿は、別に定めるもののほか、5年間保存しなければならない。ただし、指導要録及びその写しのうち入学、卒業等の学籍に関する記録については、その保存期間は20年間とする。」
【小中学校等指導要録改善の通知(13文科初第193号平成13年4月27)】
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