学校経営を構想する

手帳のことば

学校経営案の構想

子ども、保護者、地域、職員、教育委員会から信頼される学校経営をするには、過去、現在、未来をつなぐ学校の文化『学校物語』と『自らの教育観や具体策』を融合させた学校経営案の作成が必要であると考えた。

そこで、納得できる経営案を作成するため、まず自らの教育観をもう一度整理、統合、抽象化し、体系化することに取り組んだ。

独断に陥らないため、いろいろな書物や資料に目をとおした。特に外山滋比古氏の『思想の整理学』と関根郁夫氏の『少なくとも三兎を追え 私の県立浦和高校物語』は、簡易で具体性がありとても参考になった。

思考の整理学

気がついてみると、われわれはそれぞれ、いつの間にか我流の考え方自分だけの考え方のまとめ方をもっている。どこで教わったというのではないし、とくに自分で工夫したということもなく、自然にある型のようなものができあがっている。その人の発想は、この型によって規制される。やっかいなのは、その型をみずからでは、はっきり自覚することが困難なことである。自分はどういう考え方をしているのか、ということを意識するには、ほかの人の型に触れるのが有効である。

思考の整理学 p216

思考の整理というのは、低次の思考を、抽象のハシゴを登って、メタ化して行くことに他ならない。第一次思考を、その次元にとどめておいたのでは、いつまでたっても、たんなる思いつきでしかないことになる。整理、抽象化を高めることによって、高度の思考となる。普遍性も大きくなる。
(中略)いくらたくさんの知識や思考、着想をもっていても、それだけでは、第二次的思考へ昇華するということはない。量は質の肩代わりをすることは困難である。一次から二次、二次から三次へと思考を整理して行くには、時間がかかる。寝させて、化学変化のおこるのを待つ。そして、化合したものが、それ以前の思考に対して、メタ思考となる。

思考の整理学 p77

少なくとも三兎を追え 私の県立浦和高校物語

学校教育の根幹とは何かについては人それぞれに思いがあるだろう。私は、次の4点を意識して校長を務めた。
1つ目は、日本や日本の学校、自校の良さを共有し、良さを積み上げることである。
学校教育についての課題ばかりが語られ、良さが語られることが少ないことに、危惧を抱いている。良さを見失い、局所最適解を集めた合成の誤謬に陥り、その結果、進むべき方向性を見失い苦しんでいるのが、日本の学校教育の現状であるように思えてならない。日本の学校教育の良さを確認した上で、全体最適解を見出し、進むべき方向性を、身を以て示す責務がある。まず、自校の良さを共有することから始めたいと考えた。
2つ目は、自分の行動規範を持ち、自主自立した人間に育てることである。
(前略)本校生としての行動指針や行動規範を「守」として身に付けさせたいと考えた。行動指針の例としては、「浦高生としてふさわしい言動をする」「優先順位や劣後順位を考えて行動する」「少なくとも三兎を追う(無理難題に挑戦する)」「決心したことはやり遂げる」「自分の判断を疑う(今、自分は正しい判断ができるか?他人の意見を受け止めているか?)」「体を動かすことで、心の動きを変える」「見えないものを見ようと努める」などがある。行動指針という「守」を身に付けさせた上で、それを破り、離れ、自主自立した人間になるように促す学校文化を創りたいと考えた。
3つ目は、問題を解決するだけでなく、問題そのものを発見する人間に育てることである。
このことについては、卒業式式辞で私も挑戦した。
4つ目が、人とのつながり、歴史や文化など継承する人間に育てることである。
中野剛志・柴山桂太著「グローバル恐慌の真相」にあったハイエクの言葉を心したい。「人間関係や歴史、慣習、共同体から切り離された個人というのは非常に弱い人間なので、全体主義的なリーダーのところに集まって、国家のいいなりになりがち。共同体とか文化とかを破壊したり光陰につくり替えようとすると必ず全体主義に行き着く」という。恐ろしいことである。人間関係や歴史、慣習、共同体とつながる体験をさせなければならないと心した。

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