教育法規1-(1)「習慣法」「判例」「条理」「行政実例」

法規

 成文法を補完するものとして、次のような不文法といわれるものがある。それぞれについて具体的に説明せよ。

習慣法

 一定の範囲の人々の間で反復して行われるようになった行動様式などの習慣のうち、法として効力を有する不文法の1つ。
 日本では、法の適用に関する通則棒第3条が習慣法の法的地位に関する一般原則を定めている。
法令による規定のない事項について習慣に効力を認めるものであるから、法令と習慣法との間に矛盾がある場合は、一般原則として法令の規定が優先する。

(例)
 通知表は、法的に規定されている表簿ではないが、保護者が子の学校生活の状況を知るための連 絡簿として「習慣」となっている。

 進級、卒業に関しては、学校教育法施行規則第57条、第58条で規定されているが、認定の基準は校長の判断による「習慣」である。

判例

 判例とは、裁判において裁判所が示した法律的判断のこと。
 同趣旨の判決がくり返される例となっているもの。
 判例が重要な意味を持つのは、それが後の裁判を実質的に拘束し、判決の拠り所となる点日本では、上級審の判決はその事件についてのみ下級審を拘束する(裁判所法第4条)、最高裁判所の判決も大法廷の判決によって変更できる(裁判所法第10条三)ので、判例の拘束力は制度的に保証されていない。しかし、実施には、最高裁判所は軽々しく判例を変更しないし、下級審では上級審で破られるような判決は下さない。

(例)
 学習指導要領は、法規たる性質を有する。教師は教科書使用義務がある。(平成2年2月18日東京高裁)

 職務命令に違法の疑いがあっても、無効でない限り服従しなければならない。(昭和49年5月8日東京高裁)

条理

 条理とは、一般的に道理・社会通念と同じ意味。条理は、法解釈の指針となる。法律上、成文法・習慣法・判別法などが欠けているときの裁判基準となる。

(例)職務命令の有効要件

  • 命令が権限のある上司から発せられるものであること。
  • 命令が職務に関するものであること。
  • 命令が法律に違反するような行為や事実上の不能を命ずるものでないことや、命令の内容が社会通念上、合理的のものであること。

行政実例

 地方公共団体の行政が行われていく過程で、法令の解釈や運用について生じた疑義に対して、その法令所管の行政庁が示した公式解釈のこと。

(例)児童懲戒権の限界について
 問い:授業に遅刻した学童に対する懲戒として、ある時間内、この者を教室に入らせない事は許されるか。
 回答:義務教育においては、児童に授業を受けさせないという処置は、懲戒の方法としては、これを採ることは許されないと解すべきである。(以下略)

 法源は、成文法と不文法に分けることができる。
 法源:一般的に裁判官が裁判を行う際に基準となるもの。
 成文法:文章の形式で表現され、一定の手続きで低湿し交付される制定法。
 不文法:文章の形式で表現されないもの。

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