教育法規4-(1)「条件附任用制度」

法規

 条件附採用制度について述べなさい。また、条件附採用期間中の職員について、免職にする場合の手続き等の留意点について述べなさい。

趣旨

 採用された職員の実務に従事した成績に基づき、職員としての適格性を実証する機会を任命権者に与えるもの。

【地方公務員法第15条】
「職員の任用は、この法律に定めるところにより、受験成績、人事評価その他の能力の実証に基づいて行わなければならない。とされ、選考試験の結果だけでなく、採用後に実務に従事した成績等に基づいて最終的に判断される。」

【地方公務員法第22条第1項】
「臨時的任用又は非常勤職員の任用の場合を除き、職員の採用は、全て条件付のものとし、その職員がその職において6月を勤務し、その間その職務を良好な成績で遂行したときに正式採用になるものとする。この場合において、人事委員会等は、条件付採用の期間を1年に至るまで延長することができる。これにより、勤務成績やその他の能力について実証を得るために一定期間を条件附の採用としている。」

【教育公務員特例法第12条第1項】
「公立の小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、幼稚園及び幼保連携型認定こども園の教諭、助教諭、保育教諭、助保育教諭及び講師に係る地方公務員法第22条第1項に規定する採用については、同項中「6月」とあるのは「1年」として同校の規定を適用する。」

【同条第2項】
「地方教育行政の組織及び運営に関する法律の規定により正式任用になっている者が、引き続き同一都道府県内の公立の小学校等の校長又は教員に任用された場合には、その任用については、同条同項の規定は適用しない。」

免職に関する留意点

 正規採用教員とは違い、身分保障に関する規定が適用されない。

【地方公務員法第29条の2】
「次に掲げる職員及びこれに対する処分については、第27条第2項、第28条第1項から第3項まで、第49条第1項及び第2項並びに行政不服審査法の規定を適用しない。」

  1. 条件附採用期間中の職員
  2. 臨時的に任用された職員

【同条第2項】
「前項各号に掲げる職員の分限については、条例で必要な事項を定めることができる。」

【判例】(昭38.4.2最高裁判決)
「職員の任期附任用は、それを必要とする特段の理由が存し、かつ、それが職員の身分を保障して、安んじて自己の職務に専念させるという地方公務員法の趣旨に反しない場合には許される。よって、地公法第27条の2「公正の原則」は条件附任用職員にも適用され、合理的な範囲という制約があると言える。」

免職となる場合の手続き

 条件附採用期間中の職員には、初任者研修【教特法第23条第1項】や正規採用職員とは異なる人事評価【市町村立学校職員の人事評価に関する規則第4条第3項】を行うなどの育成の機会が与えられる。

 【地教行法第38条第1項、第39条】により、指導・育成状況に関する報告を年2回(8月、11月)に、勤務状況報告(2月)が市町村教育委員会、教育事務所、小中学校人事課に提出する。その際、勤務状況が良好ではない場合には、詳細な記録(校長の意見具申、市町村教育委員会の内申)が添付される。

【労働基準法第20条】
「使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも30日前にその予告をしなければならない。」

 このような手続きを経て、条件附採用教員の免職や正式採用の見送りが行われる。

全教職員で初任者の育成を図る

 日頃より初任者研修指導員・拠点校指導員を中心に、校内すべての教職員からの指導や助言が得られる体制を整え、初任者の指導力の向上を図る必要がある。同時に、当該職員の課題となる状況やその他の対応などについて、詳細な記録を残すなどの準備を怠らないことが肝要である。

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